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【論文6】原始仏教聖典におけるバラモン修行者 ── jaṭila(螺髻梵志)とvānaprastha(林住者) ──
Author 森章司 (著)=Mori, Shoji (au.)
Source 中央学術研究所紀要. モノグラフ篇=Memoirs of the Chūō Acacemic Research Institute. Monograph Series=チュウオウ ガクジュツ ケンキュウジョ キヨウ. モノグラフ ヘン
Volumen.7 (總號=n.7)
Date2003.11.13
Pages1 - 117
Publisher中央学術研究所=Chuo Academic Research Institute
Publisher Url http://www.cari.ne.jp/
Location東京, 日本 [Tokyo, Japan]
Content type期刊論文=Journal Article
Language日文=Japanese
Keyword原始仏教; バラモン修行者; 螺髻梵志; ジャティラ; 林住者; 遊行者; ダルマスートラ; 法典; 衣食住; 生活
Abstract釈尊の成道直後の伝記を語る文献としては律蔵の「受戒犍度」が有名であるが、これを仏伝として読むことは危険である。なぜならここに記された記事のすべては、正規のサンガ入団手続である十衆白四羯磨具足戒法が制定されるに至る因縁譚として記されたものであって、いわば善来比丘具足戒や三帰依具足戒法によって入団した者も有効であるということを述べようとしたものにほかならないからである。すなわち、仏の成道や初転法輪、五比丘の帰依などが語られるのは、三宝帰依の「三宝」の成立と善来比丘具足戒のあり方を記したものであり、弟子たちを諸国に布教に出したことは三帰依具足戒の成立の因縁となったからであり、ビンビサーラ王の帰依や舎利弗目連の帰依などが記されるのは、十衆白四羯磨具足戒法がなぜ制定されなければならなかったという理由を記したものなのである。
このように「受戒犍度」の仏伝らしく見える記述は、実は十衆白四羯磨具足戒法の制定史であって、仏伝として記されたものではない。成道直後の釈尊の事績はこの他にもたくさんあったはずであるが、それらはすべて主題に係わらないから除外されているのである。仏伝として有名なNidānakathāは成道から釈尊がカピラヴァットゥに帰郷するまでをちょうど1年間とするのであるが、おそらくその間のさまざま事績が抜け落ちているために、短い時間のように感じられるからであろう。われわれはおそらくここまでに10年間は経過しているであろうと考えている。
このようにこれを仏伝として読むことははなはだ危険なのであるが、ところがこのなかの三迦葉に関する記述のみは異質であって、上述した「受戒犍度」編集の意図としてどのような意味を持つのかが明かでないし、また使われるページ数も異常に多い。そこで本論文は'jaṭila'とされる三迦葉がどのような宗教者であるかを調査することを通じて、彼らが「受戒犍度」に取り上げられる理由を探ってみようというところから出発した。ところが'jaṭila'を調査しているうちに、彼らはバラモン教(ヒンドゥー教)における4つの住期(āśrama)のうちの第3および第4の'vānaprastha''parivrājaka'、特に前者に相当することに思い至り、そこで「法典」を調査していくうちに、この両者、すなわち原始仏教聖典の'jaṭila'と、「法典」の'vānaprastha''parivrājaka'の生活や修行のあり方を明らかにすることは、釈尊時代の仏教の比丘・比丘尼の生活や修行をあぶり出すためにも非常に有効であろうと考えるに至った。そこで本論文は「受戒犍度」の中の三迦葉エピソードが記される意味を考える以上に、'jaṭila'と'vānaprastha''parivrājaka'に関する調査結果の報告が多くのページを占めることになった。
Table of contents【0】はじめに 1
【1】'jaṭila'としての三迦葉 5
【2】'jaṭila'の漢訳語と調査対象とする文献 14
【3】原始仏教聖典の「螺髻梵志」資料 16
【4】後期原始仏教聖典の「螺髻梵志」資料 22
【5】螺髻梵志の特性 29
【6】螺髻梵志の姿形 35
【7】螺髻梵志の住生活 41
【8】螺髻梵志の食生活 48
【9】螺髻梵志の修行形態 50
【10】螺髻梵志の持ち物 54
【11】螺髻梵志のその他の特性 56
【12】原始仏教聖典に記された螺髻梵志 59
【13】螺髻梵志と「法典」に記された林住期・遊行期のバラモンの生活 64
【14】螺髻梵志の生活と律蔵に規定された比丘・比丘尼の生活 99
【15】受戒揵度に三迦葉エピソードが採録されている理由 114
ISSN13450468 (P)
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Created date2010.03.23
Modified date2020.08.28



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