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日蓮仏教における精神文化論の課題 : 『立正安国論』から『開目抄』へ=From the Rissho-ankoku-ron to the Kaimoku-sho : The Issue of the Concept of a spiritual Culture in Nichiren Buddhism
著者 渡邊寶陽
掲載誌 印度學佛教學研究 =Journal of Indian and Buddhist Studies=Indogaku Bukkyōgaku Kenkyū
巻号v.59 n.3 (總號=n.124)
出版年月日2011.03
ページ1285 - 1292
出版者日本印度学仏教学会
出版サイト http://www.jaibs.jp/
出版地東京, 日本 [Tokyo, Japan]
資料の種類期刊論文=Journal Article
言語英文=English; 日文=Japanese
キーワードRissho-ankoku-ron; Kaimoku-sho; the Concept of a Spiritual Culture
抄録日蓮(1222-82)が最明寺入道時頼に奏進した『立正安国論』は,一般に破邪の論として注目されるが,その背後に,精神文化論と,それに基づく仏教受容がある.『立正安国論』執筆の十一年後に執筆された『開目抄』は,「儒道・外道・内道」の三道が精神文化として共有されるものとし,その基本に「主徳・師徳・親徳」の三徳が横たわっていると説く.その究極こそが久遠仏陀釈尊であり,日蓮は釈尊の誓願を末代に実現するために「我日本の柱・眼目・大船とならむ」という「三大誓願」を明らかにする.言うまでもなく『開目抄』は,日蓮が釈尊より付託された「仏教の予言者」であることを「法華経の行者自覚」として表明した書で,「人開顕の書」とされる.が,日蓮はまず精神文化についての確認を最初に掲げ,それを踏まえて宗教的自覚の世界を表明しているのである.『立正安国論』における現状社会批判と同時的な仏教批判とは,その後の四大法難を経て,『開目抄』における精神文化論の表白と末法の法華経行者の自覚に連続するのである.周知の通り『立正安国論』は危機の時代様相への激しい危惧の名文から展開する.そして,優れた為政者が優れた精神文化の担い手の深い哲学に基づく社会の回復をひたすら願う趣旨からの批判が展開する.その面の印象が強いため,「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ」という日蓮の明快な指針の趣旨をめぐる論議が発生しがちである.日蓮は『一代五時図』『一代五時鶏図』と名づける仏教の総合的把握の図示を十数点遺している.そうした仏教の総合的把握の上に,前記の『開目抄』の「三大誓願」がある.その点から照射するとき,『立正安国論』が上記の精神文化論と深い関わりを持つことが理解できると考えられる.
ISSN00194344 (P); 18840051 (E)
ヒット数389
作成日2015.08.20
更新日期2019.05.08



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