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哲学から体験へ : 近角常観の宗教思想=From Philosophy to Experience : The Religious Thought of Chikazumi Jokan
著者 碧海寿広 (著)=Omi, Toshihiro (au.)
掲載誌 宗教研究=Journal of Religious Studies=シュウキョウ ケンキュウ
巻号v.84 n.1 (總號=n.364)
出版年月日2010.06.30
ページ75 - 100
出版者日本宗教学会
出版サイト http://jpars.org/
出版地東京, 日本 [Tokyo, Japan]
資料の種類期刊論文=Journal Article
言語日文=Japanese
ノート碧海寿広(宗教情報リサーチセンター研究員)
キーワード日本; 日本近代; 明治; 日本仏教; 浄土真宗; 近角常観; 親鸞; 清沢満之; 井上円了; 懺悔録; 求道; 近代仏教; 真宗大谷派; 哲学研究; 体験談; 救済体験; 思弁; 宗教体験; 救済
抄録哲学から体験へ。明治三〇年代、近代真宗の思想界において、そう総括すべき大きな転換が起こった。本論は、その転換期が生んだ思想の意義を、近角常観(一八七〇-一九四一)という真宗大谷派僧侶の思想と実践の検討により再考する。近角は学生時代、哲学研究に執心したが、その後は哲学を放棄し、個々人の体験を重視する宗教家へと自己形成を遂げた。だが、自らの救済体験の意義を、仏教史を貫く普遍的な要素によって根拠づけるという彼の方法は、その転身の前後を通して一貫していた。近角は、親鸞や釈尊など、真宗仏教史における至高存在の体験に、自らの体験を重ねて語るという言語実践を遂行したが、こうした体験の語りを、自己の信徒たちにも行わせた。近角の体験談を中心として、一つの体験談がまた別の体験談を生み出す、という構造がそこにはあった。明治三〇年代の真宗思想に起きた転換は、近角によって、独自の体験の言語空間の創出へとつながったのである。

In the world of Jodoshin thought, the change that would be summarized by the phrase "from philosophy to experience" took place in the Meiji 30's. This article reconsiders the meaning of the change brought about by this thought, by reexamining thought and practice of Chikazumi Jokan (1870-1941), a priest of the Shinshu sect Otani faction. Chikazumi devoted himself to the study of philosophy in his university student days, but later he abandoned it, and became a religious person who values the experience of the individual. However, his method of grounding his personal experience of salvation in the universal elements of the history of Buddhism was consistent before and after that change. When Chikazumi talked about his religious experience, his self-experience overlapped with the experience of supreme existence in the history of the Buddhism with figures such as Shinran or Buddha. He also had his followers speak from their own experience. Chikazumi's narratives became the center, and one speaking from experience inspired others to speak of their experience. Through the thought of Chikazumi, the conversion that occurred to the thought of the Shinshu sect in the Meiji 30's brought about the creation of an original language and space of experience.
目次[Table of Contents]
一、序 75
二、哲学から体験へ 79
三、体験を根拠づける 86
四、体験談の実践へ 91
五、結語 96
注 97
ISSN03873293 (P)
ヒット数546
作成日2016.02.25
更新日期2019.08.15



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