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A History of Navya-nyāya Study and Its Future: From the Methodological Point of View=新ニヤーヤ学研究の歴史と展望 ――方法論の観点から――
著者 和田壽弘 (著)=わだとしひろ (au.)
掲載誌 印度學佛教學研究 =Journal of Indian and Buddhist Studies=Indogaku Bukkyōgaku Kenkyū
巻号v.65 n.3 (總號=n.142)
出版年月日2017.03.25
ページ1073 - 1081
出版者日本印度学仏教学会
出版サイト http://www.jaibs.jp/
出版地東京, 日本 [Tokyo, Japan]
資料の種類期刊論文=Journal Article
言語英文=English
ノートThe present research is carried out under the auspices of the 2016–2019 Grant-in-Aid for Scientific Research (B) [Project number 16H03348] by JSPS.
Professor, Nagoya University, PhD, D.Litt.
キーワードmethodology; Ingalls; Frauwallner
抄録新ニヤーヤ学の研究方法として(1)哲学的方法と(2)歴史的方法が主に採られてきた.(1)は,新ニヤーヤ学の「古典テキスト」を,綱要書や限られた註釈書やインドの学術伝統の中で保持された見解を基に,合理的に解釈することを目指す.ダニエル・インガールズ以来,多くの研究者が採ってきており,哲学との比較研究へと向かうことが多く,さらには新ニヤーヤ学の哲学的特徴を探求する傾向が強い.この立場の問題点は,歴史的連続性を確保できない可能性や,離れた時代の主張を結びつけてしまう可能性があることである.

一方(2)の立場を採る研究者は多くなく,エーリッヒ・フラウワルナーがその代表である.新ニヤーヤ学の体系を確立した14世紀のガンゲーシャの前後の歴史が明確でない段階では,歴史的研究を行うのは相当困難である.問題点は,歴史的連続性を重視するために,新ニヤーヤ学の特徴について沈黙してしまうことである.

二つの方法を併せて採用したのは,ステファン・フィリップスである.彼は歴史的文脈の中で新ニヤーヤ学の発生を捉えようとした.歴史性を踏まえつつ,その哲学的特徴を考察したのである.

我が国では,宇野惇,宮元啓一,石飛道子による綱要書研究が主流を占めた.新ニヤーヤ学の「古典テキスト」に研究段階を進めたのは,丸井浩,和田壽弘,工藤順之,山本和彦,岩崎陽一である.かれらの研究方法については,二つの方法の内どちらに力点を置くかが異なる.

重要な点は,二つの方法はいずれかが正しいというものではなく,また,現実の論文においては互いに排除し合うものでもないということである.今後は研究が蓄積されるにつれて,二方法を共に採るようになると思われる.現時点では,(2)よりも(1)に重点が傾きがちであるが,哲学の研究者との連携が充分になされているとは言い難い.哲学研究者との連携あるいは哲学的知識の吸収が,新ニヤーヤ学の哲学的意義を探求する上で不可欠であろう.
目次1. Method of Research 1073
2. Research in Japan 1076
3. Concluding Remarks 1077
ISSN00194344 (P); 18840051 (E)
DOI10.4259/ibk.65.3_1073
ヒット数236
作成日2022.05.18



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