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Proof of vijñaptimātratā and Mungwe=唯識比量に対する文軌の態度
著者 師茂樹 (著)=もろしげき (au.)
掲載誌 印度學佛教學研究 =Journal of Indian and Buddhist Studies=Indogaku Bukkyōgaku Kenkyū
巻号v.65 n.3 (總號=n.142)
出版年月日2017.03.25
ページ1295 - 1301
出版者日本印度学仏教学会
出版サイト http://www.jaibs.jp/
出版地東京, 日本 [Tokyo, Japan]
資料の種類期刊論文=Journal Article
言語英文=English
ノートThis work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number JP15H03155.
Professor, Hanazono University
キーワードProof of vijñaptimātratā; Xuanzang; Mungwe (Wengui)
抄録基『因明大疏』によれば,玄奘はインド滞在中,戒日王の無遮大会において「唯識比量」(唯識の証明)とよばれるものを発表したとされる.この記事についてはこれまで疑われたことがなかったが,近年,日本古写経に基づく玄奘伝の再検討にともなって,唯識比量の作者についての疑義が提出されている.本稿では,『因明大疏』よりも先に成立したと考えられる文軌『因明入正理論疏』(文軌疏)において,唯識比量がどのように扱われているかを検討することで,唯識比量の作者の問題について考えたい.

新羅人である可能性が指摘されている文軌は,文軌疏において玄奘から直接因明を学んだと述べる一方,基やその後継者から強く批判されたことで知られる.文軌疏は,完本としては残っていないものの,趙城金蔵や敦煌文書などで断片が発見されたことにより,大部分が復元されるなど,研究が進んでいる.

文軌疏には,唯識比量やそれに類する論理式(以下,唯識比量等)が見られるが,玄奘の名前は出されず,いずれの場合も誤りを含む例として言及される.基は世間相違の説明のなかで唯識比量に言及するが,文軌は極成・所依不成・同法相似・無異相似などの説明において唯識比量等をとりあげ,世間相違においては言及しない.また,唯識比量等に対する文軌の解釈は,後に元暁の『判比量論』や玄応,順憬らの名前で引かれる解釈と共通している.

以上のことから,唯識比量は,玄奘が文軌らに対して過失の例として紹介したものが,後に基によって玄奘の作とされ,誤りのないものとして紹介されるようになった,と予想される.これまでは唯識比量を世間相違の範囲で議論することが一般的であったが,今後はより広い文脈,特に基がとりあつかわない過類のなかで唯識比量が議論されていることの意義を考える必要があるだろう.
目次1. Introduction 1295
2. Mungwe and His Commentary of NP (IIRS) 1296
3. The Proof in IIRS 1296
4. On the Restriction “In truth” 1298
5. Conclusion 1299
ISSN00194344 (P); 18840051 (E)
DOI10.4259/ibk.65.3_1295
ヒット数666
作成日2022.05.25



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