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『立正安国論』における浄土教批判と法華最勝義について=On the Righteousness of the Lotus Sutra and Criticism of the Pure Land Teaching in Nichiren's Rissho ankokuron
著者 関戸堯海 (著)=Sekido, Gyokai (au.)
掲載誌 印度學佛教學研究 =Journal of Indian and Buddhist Studies=Indogaku Bukkyōgaku Kenkyū
巻号v.63 n.3 (總號=n.136)
出版年月日2015.03
ページ1118 - 1125
出版者日本印度学仏教学会
出版サイト http://www.jaibs.jp/
出版地東京, 日本 [Tokyo, Japan]
資料の種類期刊論文=Journal Article
言語英文=English
キーワードRissho ankokuron; Lotus Sutra; Nichiren
抄録立正安国論』の直接の執筆の理由は,正嘉元年(1257)から文応元年(1260)にかけて発生した天変地夭などの災害である.災難の興起の理由について日蓮は諸経典を紐解き検討した.災難の興起について論じた,これに先立つ著作として『災難興起由来』『災難対治鈔』『守護国家論』などがある.『立正安国論』は,文応元年(1260)七月十六日に,前執権北条時頼に奏進された諌暁の書である.時頼は仏教を篤く信仰していた.これが,日蓮が『立正安国論』を彼に奏進した理由の一つである.『立正安国論』では,法然の『選択本願念仏集』などの経論疏を抄録して,浄土教批判を展開し,他国侵逼難と自界叛逆難を予言して,『法華経』に帰依すべきことを勧めている.けれども,『法華経』の教義や理念については詳しく論じられていない.これは,日蓮が公場対決を期していたことに由来すると考えられている.なお,法然批判の先駆者として,園城寺の公胤,定照,華厳宗の高弁などがある.『立正安国論』は旅客(北条時頼)と僧房の主人(日蓮)との,「九問九答」と「客の領解」(十番問答)によって構成されている.それを序分・正宗分・流通分の三段に分けて考えてみると,第一問答から第八問答までが序分,第九問答が正宗分,第十段の客の領解が流通分となる.序分では「災難の由来と経証」「謗法の人と法」「災難対治」「謗法の禁断」などについて説かれ,念仏を禁断することによって国難を防ぐことを明らかにする「破邪」の段であるとされる.そして,第九問答が正宗分であり,他国侵逼難と自界叛逆難を予言し『法華経』に帰依すべきことを勧める「顕正」の段である.流通分は第十段の「客の領解」のみとなっている.考察の結果として,日蓮の法華最勝義については要略して述べるにとどまっていることがわかった.批判の主眼を法然『選択集』に絞り,北条時頼から召喚があった時には,日蓮の宗教観に関する詳細な面談を遂げようという『立正安国論』の趣旨が再確認できたと思われる.
ISSN00194344 (P); 18840051 (E)
ヒット数672
作成日2015.10.01
更新日期2019.05.29



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